「四條瑠奈であることをやめれば、ひとまず父親からは逃げられるだろう。死亡報告の偽装(ぎそう)と新しい家くらいは用意してやってもいい」 「死…」 「四條瑠奈としてこれからも生きていくなら、父親を失脚(しっきゃく)させる手伝いをしてやろう」 壮士センパイは妖しい笑みを浮かべて、私に手を差し出した。 この人は一体何者なのか。 気になる気持ちは、お父さまに裏切られたショックでかき消えてしまった。