「最初から聞いてたんですか?」


「…警護対象も明かさない、警戒対象も明かさない、経過も明かさない、その上相場の10倍の報酬(ほうしゅう)を提示する。断られて当然だ」


「だって…!」




 そうする以外になかった。

 そう言う前に、壮士センパイは振り返って私の頭をぽんとなでる。

 ほんの少し優しさが混じった視線を向けられて、分かってくれてると胸がいっぱいになった。




「俺の調査報告、聞くか?」


「…」




 昨日“裏取りをしたら”って言ってたけど、もう教えられる状態なんだ。

 私は手を握って不安を抑え込んでから「はい」とうなずいた。

 壮士センパイの目が細められる。




四條(しじょう)元嗣(もとつぐ)には、瑠奈(るな)と同い年の隠し子がいる」