階段のほうを指す浜川さんにうなずいて答え、2人で階段をのぼる。
屋上前で足を止めると、ことさら愛想のいい、優しい顔で「それで、話って言うのは?」と聞かれた。
「…ボディーガードの依頼をしたいんです。僕の…その、知り合いが、…えっと、命を狙われていて」
「依頼?俺に?」
「はい。報酬は充分に支払います」
浜川さんは考えるように視線をそらして、「とりあえず」と口を開く。
「詳しい話を聞かせてくれる?できればその知り合いと直接会って話を聞きたいんだけど」
「それは…すみません。依頼を引き受けていただいてからじゃないと、紹介できなくて」
「そっか。それなら誰に命を狙われてるの?いつから?」
「2週間前からです。誰に…は、まだ言えません」