「浜川、この問題の解き方教えてくれないか?」
「あぁ、いいよ。サイバーセキュリティなー、3年になってから一層難しくなったよな」
教室の中で苦笑いしているのは、甘い顔の好青年。
よく笑顔を見せる愛想のいいイケメンで、アイドルでもしていそうなくらいスタイルがいい。
その性格のほうも、クラスの人気者として充分で、共学校にいたら一瞬でファンクラブを作り上げたに違いない。
「なぁ、うわさのお姫さま、また来てるぜ」
「はは…話を聞こうにも、近づいたら逃げられちゃうんだ。俺に用なら、話しかけてくれればいいんだけど」
教室の中から、ちらっと視線を送られて、慌てて扉の裏に隠れる。
「な?」
「後輩にモテる男とは言え、ああいうタイプは初めてだな、浜川」