「私は信頼できるボディーガードを探すためにこの学園に来ました。八代(やしろ)壮士(そうし)さん、私のボディーガードになってくれませんか」


「…」


報酬(ほうしゅう)は充分に支払います。期限は、父から命を狙われなくなるまで。いかがでしょうか?」




 緊張を飲み込んで、じっと八代さんの目を見つめる。

 交渉するときは、弱さを見せてはいけない。




「…断る。俺は誰のボディーガードにもならない」


「誰の?ですが、あなたは護國(もりくに)学園の生徒ですよね」




 ボディーガードを養成する、護國学園の。




「…俺は、雇われる側じゃない」




 八代さんは目を伏せてぼそっと言った。

 雇われる側じゃないって…私と同じように、誰かを雇うために通ってるの?

 自分自身が一番優秀なのに?