「許してくれよ、お嬢さま」




 そう、誰にも聞こえないようにささやいてから、私を肩に担ぎ上げた。




「んなっ…!?」




 八代さんまで私を荷物扱い!?

 …って、思ったけど、お姫さま抱っこされてまたからかわれるのも、性別がバレるのもイヤだし、我慢しないと、か…。




「今日はお姫さま抱っこしないのかー?」


「…」




 クラスメイトの冷やかしには答えず、八代さんはやっぱりずんずんと歩いて校舎に入った。

 また保健室に行くんだろうと思ってたけど、どうやら今日は別の場所に行く気みたいで、段差を登る揺れに襲われる。

 今日こそ先生に密告を…!?