「…無理、動けない…」




 私も校舎に戻らないと、とは思うけど、体が全然動きそうにない。

 仕方なくため息をついて、私は水道に体をあずけた。

 …そういえば、月曜日のこの時間だったっけ。


 先週、八代さんと会ったのは。




「お、今日もお姫さまがいるぜ」


「八代~、また運んでやったらどうだ?先週からお姫さま、毎日八代を訪ねて来てるし」


「…」




 八代。

 あの人がいるの!?

 なんとか顔を向ければ、ぞろぞろとグラウンドに出てきた男子たちの中に、確かにあのイケメンがいて。


 無表情で私を見ながら、八代さんはこっちに向かって歩いてきた。




「あ、あなたに話が…!」




 目の前まで来た八代さんに訴えると、彼はしゃがみこんで。