「う、今日もハズレ…!?」
ホームルームの前にのぞきに来た3年B組の教室。
体格のいい男子たちは雑多にいても、一番目立つあのイケメンの姿はどこにもない。
「今日も来たのか、“お姫さま”?あの完璧超人の唯一の弱点は朝だと言ってもいいくらい、八代は朝に弱いんだ。来るなら休み時間にしとけ」
「まぁ、“お姫さま”はいっつもバテてるから難しいだろうけどな~」
「…その“お姫さま”っていうの、やめてもらえませんか、先輩方」
最初は肝が冷えたけど、私の新しいあだ名である“お姫さま”は、性別バレしたからではなく…。
もう1週間も前になってしまう、八代さんにお姫さま抱っこで運ばれたあの件から来ているらしい。
男装を始めてから2週間も経てば、低い声を出すのにも慣れてきたけど。