「なるほど、それは緊急事態でございますね。しかし…そのヤシロさまを雇えば安心なのではございませんか?」


「冗談でしょ、1回助けてくれたからって信頼できるか分からないのに…!」




 あの人は私が誰に命を狙われてるのか聞いてる。

 四條(しじょう)元嗣(もとつぐ)と聞いてピンとこない人は少ないはず。

 あの四條家が命を狙っているなんて、さぞワケありな女だとでも思われてるんじゃないだろうか。


 そうじゃなくても、私がここにいるって四條家に密告すれば、相当な見返りを期待できる。




「全財産はたいてでも、あの人を口止めしなきゃ…」




 そうつぶやきながら、私は疲れが限界に達して眠りに落ちた。