疲れ切った体を引きずって寮に帰ってきた私は、今日もなんとかベッドまで歩いて倒れ伏す。




「本日もお疲れさまでございます、お嬢さま。なにか進捗(しんちょく)はございましたか?」


「ない…、けど…!あのときの、男の人に会った…!」


「あのときの…と言うと、お嬢さまが襲われたという?」




 察しがいい執事に感謝して、私は体の力を抜きながら「そう」と答えた。




「八代、壮士…3年で、学校一優秀な生徒、だって…」


「ヤシロ…」


「知ってるの?」


「…いえ、別のヤシロでしょう。お嬢さまを助けてくださった方が、この護國学園の生徒だったということですね」




 うん、と返事して手を握る。




「私があのときの女子だって気づかれたから、早く口止めしないと…!」