「あら、もう行っちゃうの?」
「授業」
「壮士なら休んだってかまわないのに。もう少し私と一緒にいない?」
保健室を出ようとした八代さんを引き留めた先生は、暗い茶髪に染めた髪を緩く巻いて、バッチリメイクをした美人な女性。
八代さんがこの世の人間とは思えないきれいすぎる顔をしてるから、遜色なしに、とはいかないけど…。
並んでも違和感がない2人ではある。
確かにお似合い、かぁ…。
生徒と先生なんて禁断の関係だけど。
っていうか、それよりも私はあの人が私の正体をバラさないか、っていうことの方が気になる!
「…」
目が充血するほどの勢いで力を込めて、廊下に出た八代さんを見つめていると、ちらりと振り返った彼は…。
ふっと、鼻で笑って去って行った。