「うふふ、優しいのね。それとも、私に会いに来るための口実?」




 耳に入る声が甘くて、え、とおどろいた。

 八代さんと保健室の先生ってそういう関係なの…!?




「…世話、頼んだ」


「分かったわ、壮士(そうし)




 私がいること忘れてます?っていうくらい、先生が八代さんに体を寄せて、ジャスミンの香水がふわりと香る。

 今度は別の意味で冷や汗が出そうで、ひたすらに口をつぐんだ。

 けれど、すぐに甘く濃厚な香りが遠のいて、私はベッドに寝かされた。


 衝撃を一切感じないほど丁寧に降ろされたあたり、丁重に扱われてるなと感じるけど。

 離れていくジャージの袖を思わずつかむと、八代さんは目を合わせて私の手をそっとはがした。

 それはなに!?私の正体をバラすつもりだっていう意思表示!?