「そんなこと分かってる!」




 私に屋敷を与えたのは生前のおじいさま。

 けれど今、屋敷の、そして使用人の管理をしているのは現四條家当主であるお父さま。

 誰にお父さまの息がかかっているかなんて分からない。




「っ、どうしたら…!」




 すがるような気持ちで、病床(びょうしょう)のお母さまと、今は亡きおじいさまを思い浮かべる。

 切実に助けを()う気持ちが通じたのかは分からないけれど、そのとき、不意にクラスメイトの声がよみがえった。


 ――ご存知?護國(もりくに)学園のこと。

 ――えぇ、知っていますわ!ボディーガードを養成する男子校ですわね。

 ――護國学園出身のボディーガードはとても優秀だと聞いたことがありますわ。それに…