間違いなく、私だ。

 去年、入学式の日に撮った写真。

 身内しか、持っていないはずの…。




「ウソ…なんで…?」




 かすれた声が漏れる。




「この女からは手を引け。また近づけば…」


「分かったっ、分かったから助けてくれ!」




 イケメンが男を解放したのか、バタバタと足音が聞こえる。

 へたりと座り込んだまま動けずにいる私の前に、誰かがひざをついて、写真を差し出した。

 この場にいるのは3人だけだったんだから、相手は考えるまでもない。




「家の人間に連絡して、今すぐ迎えに来てもらえ」


「…あ、ありがとう…」




 震える手で写真を受け取って、助けてもらったお礼をなんとか口にする。




「災難だったな」