****
Side:???


 ドレスに、タキシード。

 それぞれの華やかな衣装に身を包んだセレブたちは、シャンデリアに照らされた会場でグラスを交わし合った。




「いよいよ、お目にかかれるのですね」


「えぇ。楽しみですわ。どんなお方なのかしら」




 とある婦人たちは、ほおに手を添えて談笑し。




「四條家の“賢者”が目に入れても痛くないほど可愛がったというお方だ。知的な女性なのだろうな」


「いいや、夫人のように美しい女性だ。婚約の申し込みが殺到(さっとう)するから今まで隠していたのだよ、きっと」


「なんにせよ、四條家のご令嬢なのだ。うわさに(たが)わないお方なのさ」




 とある紳士たちは、口々に予想を言い合って。

 互いに、口にした。




「「“四條家の至宝”は」」