「私が助けを求めにうかがったときに、夜城さまがお部屋でながめていたものですね。失礼を承知で申し上げますが…」




 突然、今まで静観していたセージが近くに飛んでくる。




「お嬢さまのお好みは、カラーレスでございますよ」


「知ってる」




 なんの話…?




瑠奈(るな)


「…なに?」




 壮士くんは、私が見ている前で小箱を開けた。

 中に鎮座していたのは…パープルダイヤモンドが輝く指輪。




「えっ…?これ…」


「あとで、買いに行った」




 いつもは透明な宝石に()かれる私の本能が、やっぱり紫色のダイヤモンドに惹かれている。

 壮士くんは指輪を取り出すと、小箱を床に置いて、私の左手をすくいとった。

 期待で胸が高鳴る。