金髪の男が言ったことをそのまま受け取るなら、“直系”らしいけど。

 ちらりと見上げると、壮士くんは私のほおを、なでながら答えた。




夜城(やしろ)の跡取りだ」


「えっ」




 そんなに深いところにいる人だったの!?

 びっくりして離れたすき間を埋めるように、壮士くんは、ぎゅっと私を抱きしめる。




「一度、俺を受け入れたからには…逃がさないからな」




 どうやら私が逃げると思ってきつく抱きしめたらしい。

 とんでもなく強い独占欲は、色濃く深い愛情の証。

 私は笑って、壮士くんの背中に腕を回した。




「逃げないよ。私、未来のお嫁さんだもん」


「…」




 それで安心したのか、壮士くんは私を離して、ポケットに手を入れる。

 取り出されたのは、紺青(こんじょう)色の小箱だった。




「それは?」