「うん、いいよ。壮士センパイの…壮士くんの、お嫁さんになる」




 ずっと、“さん”と呼ぶほど丁寧に扱いたくなくて、抵抗するように“センパイ”と心にもない敬称をつけてきたけど。

 今は、私のただ1人の特別な男性として、愛と親しみを込めて名前を呼びたい。

 そして、それだけでは収まらない気持ちを伝えるように、私は初めて、自分から壮士くんにキスをした。




「瑠奈…ひとつ、言い忘れた」


「え…なに?」




 照れながら、好きの気持ちを込めて壮士くんを見つめたのに、そんなことを言われて眉をひそめる。

 相変わらずの無表情をした壮士くんは、私の耳に口を寄せて、低い声でささやいた。




「俺の嫁になったら…他の男には、一切触れさせない。瑠奈の体に触れるのも、唇を味わうのも…生涯、俺だけだ」


「っ…」