びっくりして思わず聞いてしまった。

 今まで、それにこだわってたのに。




「瑠奈が俺の嫁になるなら、他にはなにもいらない」




 唇を指でなぞりながら、流し目で見つめられたら、ときめく以外の道なんてあるわけない。

 無表情の裏でそんなに私を愛してるなんて…ずるい。

 この人はいつも突然に、私の心の奥に入り込んで来るんだから。




「…私が、欲しい?」




 確認の意味で尋ねると、すぐに唇を食べられる。

 それが答えだと言うように。




「…欲しい」




 背中に腕を回して、抱きしめてもなお、私が欲しいと言うのは、私の心を求めているから。

 それが、どんなに探しても否定の言葉が見つからないほど鮮烈(せんれつ)に分かってしまって、真っ赤な顔がにやけた。