壮士センパイは、裏社会で絶大な力を持った夜城(やしろ)家の人間で…護國(もりくに)学園に入った目的からしても、たぶん、悪人。

 でも、出会ったときからずっと優しくて…それは、私が四條(しじょう)の娘だからとか、そんな理由からでもないはずで。

 悪い人だけど、いい人なんだ。壮士センパイは。



 返答に困ってセージを見ると、じっと見つめ返された。

 直接言葉にはしないけど、“お嬢さまのご自由に”…そう、伝えようとしている気がする。

 おじいさまからそう命令されてるって、今まで何回も聞いてきたし。


 私の自由に…。




「イヤじゃ、ない」




 そう答えてから、ふと、どうして壮士センパイが私の言ったことを気にするんだろう?と疑問に思った。

 悪人なら、私なんかになにを言われたって気にしなければいい。

 そんなことを気にするようなら、裏社会を統括する夜城家の人間なんかではいられない…気がする。