緊張で体が震えそうになるのを、気合で押し留めた。

 壮士センパイがどの立ち位置の人なのかは分からないけど…()けるしかない。




「私を助けてくれたのも、お父さまの目的を教えてくれたのも、私にキスをしたのも…壮士(そうし)よ。夜城壮士」


「夜城、壮士だと…っ!?」




 金髪の男がおびえたように、私から少し離れる。

 そのうしろに、包丁を持ったお父さまの姿が見えて、息を飲んだ。

 あれで私を殺す気…っ!?


 …いや、違う。それはこの人に任せているはず。

 なら…、もしかして、この人を殺す気!?

 お父さまの目的を聞いたから…!




「あなた、うしろっ!」




 私の言葉を聞いて振り返った金髪の男は、「なっ…!?」とおどろきの声を漏らした。