「私は、夜城に守られた女よ。あなたが勝手に殺していいのかしら?」




 強気を武装するには、この言葉遣いが一番いい。

 金髪の男はぴくりと手を動かして、私を食い入るように見つめた。




「“夜城に守られた”…だと?」


「さっきも言ったでしょう?一番最初に私を助けた人っていうのが、夜城家の人間なの」


「…ハッタリ、だろ」


「どうかしら。そう思うなら殺してみれば?まぁ、私にキスをしたあの人は怒るでしょうけれど」




 にっこり笑ってみせると、金髪の男の手が私の首から少し離れる。




「誰だ?…その夜城家の人間って言うのは」


「あなたが聞いて分かるのかしらね」


「俺は下っ端じゃない、直系の名前なら知ってる」


「そう…」