「なにかあるだろうとは思っていたが…あんたがあの男の娘だったとはな」


「っ…私を、殺していいの?」




 震えた声で、私は抵抗を(こころ)みる。

 金髪の男はおもしろがるように笑った。




「お嬢さまが俺を買うか?でも、四條(しじょう)家当主の資金力に(かな)うとは思えないね」


「…いくら、もらったの?」


「前金で、500万。お嬢さまを殺せば、1億だ」


「はっ…」




 たった、1億500万円の命だなんて。

 でも、確かに私がお金で寝返らせることはできそうにない…。

 なら、どんな手でも使うしかない…!




「…あなた、夜城(やしろ)って知ってる?」


「…へぇ、さすが四條のお嬢さまだな。その名前を知ってるなんて」




 金髪の男はすっとしゃがんで、私の首に手をかけた。

 呼吸が浅くなるけど、まだその手に力は込められていない。