なぜかニヤニヤとしてこっちを見てくる男子たちを尻目に、八代と呼ばれたイケメンはずんずんと歩く。

 相当な長身だから、お姫さま抱っこされてるだけでも、いつもより目線が高くて慣れない。

 すでにグラウンドに出た男子たちに続くように、校舎から出てくる男子の好奇(こうき)の視線にさらされながら、八代さんは昇降口に入った。


 この人本当に保健室に行くのかな…!?

 職員室とか学園長室に行ったりしないよね!?

 いや、保健室の先生に私の性別をバラすとかも…!


 いっそ走って逃げ出す?

 ううん、ただでさえ疲れてるし、この学園の生徒じゃ追い付かれる気しかしない…!


 まさかあのときの人が護國(もりくに)学園にいるとは思わないじゃん…!

 私はぎゅっと目をつぶって、八代さんと初めて会った日のことを思い返した。