「私なら、腹に一物抱えてる人を家に引き入れたりしないんだけど。そこはさすがおじいさまって感じ」


「大旦那さまは、そんな人物でさえも手玉にとる賢者でございましたから」




 私には無理だろうなぁ…そんなこと。

 壮士センパイには四條家を継ぐって言ったけど…いっそのこと、もう四條の名前を捨てて逃げちゃおうかな。

 …ううん、ダメ。


 本邸には、お母さまが残ってるんだ。

 私が、お母さまを助けないと…。




「…お嬢さま、つかぬことを、おうかがいしますが」


「…なに?」




 答えてから、こっちのほうに人が来たことに気づいて、セージに肩に乗るよう、うながす。

 小声で話さないと聞かれちゃうから。




「夜城さまのこと…まだ、お(した)いしているのでございますか?」


「…」