「お嬢さま」
「少し、寝る…」
「かしこまりました。おやすみなさいませ」
ズキズキと、痛みが増した胸を押さえて、私は無理やり目をつぶる。
熱くなる目頭も知らんぷりで、眠りについた。
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夢を見た気がする。
それは、名家の令息である壮士センパイと偶然出会って恋に落ち、照れながら結ばれるものだったり。
一般人として生まれた私が、街中で壮士センパイに一目惚れして、片想いし続けるものだったり。
はっきりとは覚えていないけど、壮士センパイが出てきたことだけは覚えてる。
我ながら未練たらしいな、と笑ったら涙がこぼれて、慌てて指で拭いながら体を起こした。
体の疲れは、いくらかとれている。
「おはようございます、お嬢さま。今はお昼でございますよ」
「ん…おはよ。…外で食べたい気分。出かけるよ」