「あのときの、お嬢さま?」


「ナ、ナンノコトヤラ…」




 いつもよりうんと低い声で答えると、かすれて無理してます感が出てしまった。

 鋭利(えいり)な雰囲気を持ったイケメンは、私の背中に触れると、ぐいっと、私をお姫さま抱っこで持ち上げる。




「ぅ、わっ」




 思わずがっしりした肩に掴まってから、頭が急速回転し始めた。

 や、ば。え、どうしよう…!

 このまま学園長室に連れて行かれる…!?




八代(やしろ)、その転校生どうするんだ?」


「保健室に連れてく」


「チャイム鳴る前には戻って来いよ~」