いつかのように、一切衝撃を感じないほど丁寧にベッドの上へ降ろされる。




「瑠奈(るな)」




　壮士センパイは、私に覆い被さるようにベッドへ手をついて、私を見下ろした。




「…どうして避ける？」


「っ…」




　感情の読めないつり目が、まっすぐに私を見つめる。

　どうなるか、分からない。

　でも、この際全部明かして、もう私に構わないでと言うほうがいいのかもしれない。




「壮士、センパイ…本当は苗字、違いますよね？あなたは裏社会を統括する夜城家の人間…そうなんでしょう？」




　顔を背(そむ)けて、思い切ると。




「…やっぱり、部屋の中をいじったのは瑠奈だったんだな」




　壮士センパイは、ぽつりと答えた。