「はぁ…」
目を閉じてため息をつくと、みんなが走る音に混じって、真横でじゃり、と足音がした。
誰だろう、とのんきに思っていた私の体は、ひょいと抱き上げられて。
「なっ、なに…?」
力なく顔を上げると、私をお姫さま抱っこしているのは、息の仕方を忘れるほどきれいな顔をした人だった。
「っ、壮士、センパ…」
おどろきすぎて、体がこわばる。
でも、そんなのお構いなしに、壮士センパイは校舎に向かって歩き始めた。
「お、降ろして、ください…っ」
「断る」
私には抵抗する力が残っていないから、そう言われるとただ黙って運ばれるしかない。
今までとは違った意味で速くなる鼓動を聞きながら目を閉じていると、しばらくしたあとにからからと音がした。
薄く目を開けて居場所を確認すると、どうやら保健室に連れてこられたようで。