「私の見立てでは、机付近が怪しいかと」
「…見てみる」
裏社会で生きている証なんて、見つかって欲しくないけど…私はベッドに飛び移るセージを横目に、机へと近づいた。
机の上にあるのは、私が昨日置いたウィッグとさらし、それに壮士センパイのものと思われるスマホ。
こんな堂々と置かれているものに重大な秘密が隠されているとは思えないけど…。
指紋認証するタイプの機種であるのを見て取って、ベッドに近づく。
「壮士センパイ、起きてる…?」
手に触れて声をかけてみても、反応はない。
私はごめんなさい、と心の中で謝って、壮士センパイの指にスマホを押し当ててロックを解除した。
そのままメッセージアプリとか、連絡帳とか、写真とか、メモをのぞかせてもらったけど、特に怪しい要素はなかった。