「朝までいる気だろ。寝る間くらい、楽な格好しておけ」


「寝っ…!?」




 る気はないけど、一回寝たフリでもしないと壮士センパイも寝てくれないかな…?




「…分かった」




 渋々、そう答えてユニットバスでウィッグとさらしを外す。

 畳んださらしとウィッグを持ってユニットバスを出ると、壮士センパイはベッドに腰かけていた。

 男装セットを机に置かせてもらって、壮士センパイの前に立つ。




「…壮士センパイ、」




 少し迷ってから、八代(やしろ)って本名?と聞こうとすると、腕を引っ張られて、壮士センパイの胸にダイブするはめになった。




「っわ、な、なにっ…!」




 腰に腕を回されたまま、うしろに倒れる壮士センパイにつられて、私もうつ伏せで寝転がる。

 こんな強引に寝かせなくても…!