「変なこと訊くね?」

「うん」

「死ねるかなって思ったことは冗談じゃなくて」

「うん」

「死んでもいいって思ったことは本気?」

「本気だったんなら死ねてるんだろうな。今頃」

「そう、だよね」

見て、って藍が言った。

前にも後ろにも、私達以外のゴンドラは見えない。
カップル達の姿は消え去って、
顔が認識できない人間達のカタチ、
ビルのてっぺん、
つるりとしていない歪な表面のアトラクションが見えた。

「てっぺんだね」

「うん」

「ここでゴンドラが落ちたら」

「うん」

「私達、一緒に死んじゃうね」

「うん」