パークの目玉となる絶叫マシンとか夏には風が最高に気持ちいいのだろう、空中ブランコとかみたいには観覧車にはそんなに列はできていなくてすんなり乗車できた。
私と藍が乗り込んだゴンドラの前も後ろもカップルで、
透明の窓からその姿がはっきりと見えるからなんだか気まずかった。

「ごめんね。最初に観覧車なんて」

「なんで?俺は好きだよ。すなおは高いところは平気なんだ?」

「うん。早くてグネグネ動かれたり逆さまにされたりするのが怖いみたい」

「あはは。なるほどね。でも観覧車だってたまに揺れるよ。ほら……」

言いながら藍がちょっと腰を屈めながら立ち上がって、
少しだけ私のほうへ移動してきた。

ゴンドラが揺れて私側へちょっと重心が傾く。

「ちょっ……!!!」

「あっはは!ごめんね?こういうのは本当に怖いんだね」

「もー!藍ってばいじわる!」

「特権でしょ?」

「特権?」

「せっかく二人きりなんだから二人きりの時にしか見れないすなおを堪能しなくちゃね」

藍の言葉に私は何も言い返せなかった。

なんでそういうこと言うの?
さっきからずっと心臓の痛みに耐えてること、知らないくせに。

もしもこのドキドキが藍に聴こえてしまっていて
わざと言っているのならやっぱり藍はいじわるなペテン師だ。