「実は俺もあんまり絶叫系の経験とかなくて不安だったんだよね。だからすなおが勇気出してくれて俺も救われちゃったよ。ありがとね。少しだけ別行動しない?またお昼くらいに集合してお昼ご飯でも食べようよ。みんなが乗りたいアトラクション楽しんでる間にさ、俺とすなおはパークをお散歩したり、ゆるめのアトラクション乗ったりすんの。どう?」

「まぁ……Win-Win、だよな?」

男子の一人が言って、もう一人が頷いた。

「すなおちゃんはそれでいいのー?すなおちゃんが大丈夫ならちょっとだけ、甘えちゃおっかな?」

「うん。すなおちゃんが決めていいよ。でも!」

「でも?」

「″別行動″イコール″仲間外れ″じゃないからね!?」

目力いっぱいの巫女ちゃんに思わずニコニコしてしまう。
どこまでも優しい人。

「分かってるよ。みんなありがとう。じゃあ、私のほうこそ甘えさせてもらっていいかな?」

「すなお、大丈夫?」

翠は無表情だった。
たぶん、藍の提案に賛成も反対もしていない。

私が選ぶならそれだけが正解だって言われているような目だった。

「翠も絶叫大好きでしょ?楽しんできて」

「……分かった。じゃあ藍、すなおのことしばらく頼むな」

「お任せください。お前のお姫様のこと、しっかりとお守りしますから」

「はっ!?お前なに言ってんのっ!」

炎天下だからだろうか。
みるみるうちに翠の顔が赤くなって、
女子達は藍が言ったことに「目眩する…」なんて頭を抱えている。

男子達は翠を茶化した。

私は、藍の言葉の真意を汲み取れないまま
翠が合わせてくれなくなった視線を追っていた。