「んで、これは?」

男子の一人が二人の背後のリムジンバスを顎で促した。
ここにいる全員(二人以外)が気になっていることだ。

「父さんが手配してくれた」

「父さんが朝ごはん作ってくれた」みたいなノリで翠がサラッと言った。

修学旅行の時みたいなサイズのバスだ。
これをたった六人……いやまさか、藍を含めて七人の為に?

「すっげぇな、間宮グループ!」

「十人未満って言ってもさ。大勢で公共機関を利用するのはちょっと気が引けるだろ?翠が昨日連絡してきてさ。今朝、父にお願いしてみたんだ。ホテルや観光地での事業も多いからさ。提携してる旅行会社がいくつかあって。急にも関わらず近くで空きがあってさ」

藍がニコッて笑って、グミちゃんと巫女ちゃんが同時に「すてき……」って言った。

「そ!だから相談してくれた藍の手柄ってわけ!」

「最初に俺に言ってきたのは翠だろ」

双子達はお手柄を擦りつけあっている。

奪い合うことをしない二人を見ているのは好きだった。

「えっと、今日は藍も一緒に行くの?」

「″あい″!?」

今度は翠とグミちゃんの声が重なった。