シーンと静まり返った教室で、カリカリとシャーペンの音だけが響いている。


 図書室で勉強するものだとばかり思っていた。

けれど、教室で勉強を教えることになった。


 図書室は私語厳禁で、教えたりするのは不向き。


 なのは、分かるんだけど……。


 どうしてこんなに距離が近いの……?


 机を向かい合わせにして勉強しても良かったはず。

 でも、一ノ瀬くんは机を横にぴたりとくっつけてきた。


 質問される度に距離が近くなる。

 一ノ瀬くんが近づく度に心臓がドキドキとうるさい。


 男の子と二人きりになるのも初めて、男の子と至近距離で話すのも初めてで。


 おかげでわたしは、緊張しっぱなし。