翌日の放課後。


 みんなが帰ったあとの教室はガランとしてい、どこか寂しい。


 開け放った窓からは、運動部の掛け声と心地良い風が入ってくる。


 誰もいない教室で一ノ瀬くんと二人きり。


「それじゃあ、今日から一週間よろしく。ひよりちゃん。」


 五月の爽やかな気候に負けないほどの笑顔を、一ノ瀬くんは浮かべる。


 それよりも、今、名前を呼ばれた……?

 いや、わたしの聞き間違えかな……?

 昨日は苗字呼びだったし、恋人でもないのに名前呼びはしないよね。


「ひよりちゃん?ぼーっとしてるけど大丈夫?」


 突然の名前呼びにドキリとする。


 聞き間違えじゃなかった!

 男の子に名前で呼ばれるなんて、小学生の時以来だよ……。

 でも、どうして名前呼びなの?