私が生徒会室に帰ると、奥からギャーギャーバタバタドンッグチャという愉快な音が聞こえてきた。
なにグチャって。
なに潰したの。
「ねーちょっとー」
絶対アレだよね。
(れいん)(ぴいち)を煽った時の喧嘩だよね?
原因ま~た私だよね?
「あ・・・っ!ほ、ほら、(むうん)が帰ってきたよっ・・・!」
(べりい)が最初の私に気づき、慌てたように声を掛ける。
まぁ、苺たちに喧嘩の収束命じてあったからねぇ・・・。
「む、月・・・!その、桃がっ・・・月が出て行ったときに急に雨に飛びかかって・・・っ!!」
(すかい)も言い訳をはじめ、私に助けを求め始めた。
「もー・・・幹部交換しよっか?ちょうど(すのう)(らいと)に会ってきたからさぁ・・・」
光なんて功績上げようとしてるしね。
「・・・えっ?ま、待ってよ月~!」
「雪と光・・・殺す・・・殺す・・・」
ちょいちょい、自分が蒔いた種でしょーに。
「・・・んぁ、そうだ。下の子たちに知らせだそうと思ってね」
このために帰ってきた・・・わけではないんだけど。
「知らせ・・・?なにかあったのか?」
空が心配そうな視線を向けてきて、私はニッコリ笑った。
昊優(こう)、わかる?」
「あぁ、あの忠誠心高くて信頼できる元気な子だよね?」
お、苺からの評価もいいぞ。
「正義感が強くて下の奴らからも頼られてるんだろう。ハキハキしてて第一印象もよかったな」
空からも花丸満点貰っちゃいましたよ、昊優。
・・・キミのいないところで。
どうせなら本人がいる時に褒めてあげたかったんだけどね・・・。
きっと・・・実力は別にして、性格だったら幹部候補№1だ。
「その昊優がね?みんなが授業を受けないって困っててさ。これ以上チュリと幹部の評判を落としたくないらしいんだ」
「昊優・・・さすが次期幹部候補だな」
空が感心したように言い、苺も笑顔でうなずいた。
次期幹部候補。
つまり、現幹部候補が幹部になった時の幹部候補だ。
ちょっとわかりにくいかな?
人説明すると。
現幹部候補の雪と光が幹部になった時に、昊優が現幹部候補になるってコト。
「だから授業をちゃんと受けるように知らせを出そうと思って。あとは・・・幹部交換トーナメントもやりたいな」
「か、幹部交換トーナメント?!そ、そんな・・・俺たちじゃダメなのか?」
「みんなの力を疑ってるわけじゃないよ。私が転校してきたし、いつまでも幹部が変わらなかったら下の子たちも不満じゃない?」
幹部のみんなの力は信じている。
でも、下の子たちの中に幹部よりも強い子が紛れているかもしれないから。
そんな子たちの大出世のチャンスだね。
「トーナメントはくじ引きね。幹部は最後まで待ってて、下の子たちの中で一番強い子が幹部と戦うってコトで」
変な細工をしないと信じられる空と苺にくじ引きづくりを頼むと、2人は快諾してくれた。
「私知らせ作るわ」
パソコンに向き合い、『知らせ』という名の脅迫状を作る。
『メンバーは全員毎日登校して授業を受けるコト。
授業をサボったりしないコト。
注意はちゃんと聞くコト。
幹部候補や次期幹部候補を困らせないコト』
『来週の火曜日の放課後、幹部交換トーナメントを行います。
全員参加で、武器の使用はNG。
くじ引きで相手が決まり、勝ち残った5人が幹部になります(総長や副総長も含む)。
最終戦で戦った二人が総長と副総長に就任します。
最後まで残れるように日々の努力の結果を見せてみてください。
また、幹部候補は幹部5人の戦いの1つ前まで残った2人になります』
ルール説明も兼ねた知らせを打ち込み、印刷して私はファイルに入れた。
「体育委員室行ってくるね」
ファイルをもって生徒会室を出てまた廊下を歩く。
「失礼」