「・・・総長、すんませんっす」
「ん?いや、原因私だから気にしないで。元気が有り余ってるね。良きかな良きかな」
「総長にそう言ってもらえてよかったっす・・・いつもお疲れ様っす・・・」
「労い感謝する。じゃあ私は生徒会室戻るね。・・・にしてもさ?」
部屋を出たとたん、1人のメンバーが頭を下げて謝り出した。
髪を綺麗に赤に染めた元気そうな男の子。
たしか名前は・・・昊優(こう)
「・・・にしても・・・?どうしたっすか?」
「メンバー全員学校さぼってんの?」
私は入学式には間に合わなかった(?)し、明日から教室で紹介してもらうからココにいるけど?
今フツーに授業中な時間。
廊下に誰もいなかったからまさかとは思ったけどねぇ・・・。
「・・・みんなずっとそうっす。強制登校日ぐらいっすかね・・・副総長は困ってるし、幹部の皆さんも呆れてるんですが・・・」
昊優の言ったセリフのあとはなんとなく想像できる。
原因はきっと・・・私だ。
「総長が入学してくることが分かって、みんないつこの教室に来てもいいようにって授業受けなくなって・・・」
やっぱり・・・不良だから学校さぼるのは仕方ないかもしれないけどさぁ・・・。
幹部たちを困らせたらだめでしょ?
「お願いっす!総長から学校行けって言ったらきっとみんな行くっす!だから・・・これ以上、チュリの・・・幹部や総長の評判を落としたくなくてっ・・・」
涙目で必死にそう言う昊優の頭を撫で、私はニッコリ笑った。
「ありがと。じゃあメンバー全体を対象とした知らせでも出すかぁ・・・」
「し、知らせっ・・・」
昊優が青褪める。
そりゃまぁ、反応はそうなるわな。
総長からの知らせは、知らせなんて易しいものではない。
命令状、というか脅迫状、というか・・・。
その知らせに書かれたことに背いたら処刑、チュリではメンバー追放だ。
あーぁ・・・可哀想なメンバーだなぁ・・・。
一番かわいそうなのは昊優と私と幹部だけど。
「明日には発令するわ。それまではなにも言わないでねー」
昊優にそう言ってヒラヒラと手を振り、私は教室を出て行った。