・・・というのが、昔の話である。
まぁ、1年どころか半年・・・あれ、4カ月しか経ってないね?
チラッと海の様子を窺うと。
「月は凄いね」
褒めてくれているのか、頭を撫でてきました。
「ん・・・ありがと?」
この話をして褒められるのは初めてだ。
あまり人には話さないけど、離した人は大体私を怖がる。
海は変ってるなぁ・・・。
チュリを嫌ってるのは残念だけど。
「海は・・・なんでチュリが嫌いなの?」
「・・・なんとなく?最近流血沙汰は起きてないみたいだけど・・・暴走族って怖いしね。いつ生徒を傷つけるか分からない」
なるほど・・・海は生徒思いなんだな。
でも・・・海には裏がある気がする。
胡散臭いのもそうだけど・・・なんか、闇を抱えているような、そんな感じがする。
「安心してよ。私が総長でいる中3までは喧嘩は起こさないって約束するから。雪と光もいい子だし、他の幹部候補も・・・それに」
私は海を見て、微笑んだ。
「もうすぐ幹部交換トーナメントがあるからね。実力とともにチュリを纏めるにふさわしい人を決めるんだ。私が選ぶも同然になるだろうし、人を見る目はあるからね」
グッと親指を立ててお茶目にポーズをとる。
「・・・月のコトは信頼できそうだ」
「ふふ・・・ホントに?」
「ホントに。月のコトだけ、ね」
意味深な笑みを浮かべ、海は席を立った。
「俺は月だけを信じる。だから頼ってよ」
そう言い残し、クラスメイトの輪に入る海を見送る。
きっと海はクラスでの中心人物だ。
人を気遣うコトが出来て、みんなから支持される。
チュリには欲しい人材だなぁ・・・性格としては光で間に合ってるけど。
海は強いのかな?
頭は良さそうだね。
真白(ましろ)(しい)、ね。メモメモっと」
胸ポケットから小さい手帳を取り出し、私は海の名前と性格、クラスと自分が感じたことを書いていった。
このメモに書いてある人は私がいいと思った人。
大体の人はスカウトされてチュリに入ってくれるけど・・・。
海は難しそう。
まぁ、ピンチになったら助けてくれる関係、くらいでいいかな。
助け合えるクラスメイト・・・いいじゃん。