2人を置いて教室に入った時、みんなに囲まれてニコニコと愛想よく笑っている(しい)が視界に入る。
なんか大変そう・・・。
モテる人っていつもみんなに囲まれて疲れるだろうね。
1人時間も大切にした方がいいのに・・・でも会ったばっかりの人を助けるのはあまりよくないような?
しかも囲まれて疲れるっていうのは私が感じてるだけだし・・・。
「あ、ごめん。カラオケはパス」
海は私に気づき、周りの男子に短くなにかを言って近寄ってきた。
さっきまで周りにいた男子は私と海を見て、楽しそうに笑っている。
「海頑張れよー!」
「あの海を落とすなんて・・・!」
「黒姫さん、すごいな!」
男子たちはコソコソと顔を寄せ合ってるけど、結構会話は聞こえている。
「あ、私は(むうん)でいいよー」
軽くそう言うと、男子たちは嬉しそうに頷いて自分の席に戻っていった。
「海、どうかした?」
「いや・・・一緒にご飯食べれなかったから」
あぁ、それで今は一緒に居たいのかな?
「・・・お話しする?」
「え?・・・じゃあ、月とチュリについて聞かせて」
チュリについて・・・?
「なにが聞きたい?」
メンバーのコトかな?
掟とか?厳しいのはないけど。
あっ・・・どこで女子の私が暴走族と知り合ったのか?
それともなんで総長になれたのか、とか・・・?
「月はなんで総長になったの?ってかいつ?」
いつ・・・?
「総長になったのは・・・前の総長に任命されたから?6年の時になったよ」
「へぇ・・・どんな感じなの?」
興味津々・・・というふうにはとても見えないけど、訊いてくれてるから教えてもいいよね。
私は海を1度見つめ、窓の外にチラリと視線を移してから脳内の記憶を探った。