「俺だってそうだよ」


「…え?」



私の肩を掴んでいた梶くんの手がぎゅーと強まった。



「この一年間、ずっと忘れられなかった。愛菜には速水みたいな俺よりも全然対等な男がいる、そいつといた方が愛菜は幸せなんだって何度も言い聞かせて、必死に自分を納得させてた。きっと俺は愛菜が“運命みたい”って言ってたあの日から、おまえのことが好きだったのにな」


「嘘だ…だって、夏希ちゃんは…」


「夏希?だから、夏希はただの幼なじみだって言っただろ。愛菜こそ速水はどうしたんだよ」


「速水くんは…友達だもん」



やっと、梶くんとの絡まり合っていた糸が解けた。



「でも、そう言って結局幼なじみの夏希ちゃんとくっつくとか、そういうオチなんじゃないの?」


「はは、なんだよそれ。素直じゃないな。せっかく愛菜をもう一度捕まえられたんだ。もう二度と離すわけがないだろ」