「振った!?それはどういことですか、高城さんには他にお相手が…」


「はい。高城さんにはずっと忘れられない人がいるみたいで。一年経った今も、僕はその人に敵わないんですよ」


「ちょっと、速水くん…!」



生中継のネット配信もしていることを、この人は忘れているんじゃないだろうか。


今発言していることが全国にリアルタイムで配信されてしまっているのに。



「はい、愛菜ちゃん。時間も押してるし、最後に一言」


「ちょ、このタイミングでこっちに振らないで…!」



シーンと会場中が静まり返り、みんなして私の言葉を待っている。



「え、えっと…今速水く…速水さんが言っていたことは、全部嘘で…」



–––「最後のチャンスだよって教えてくれてるんじゃないかな」