その日は、梶くんと手を繋いで二人で笑いながら街中を歩く夢を見た。


朝起きてそれが夢だったことに気づいてがっかりしたけど、いつかそんな未来になるといいなと思った。





「なんか今日見に来てる人多くない…?」



今までも撮影しているところを見にくる生徒はちらほらといたけど、今日はまるで何かの試合観戦かのようにずらりと廊下に生徒が並んでいた。



「今日はキスシーン撮影があるでしょ?どっかからその情報が漏れたみたいで、見にくる生徒も増えたってわけ」



速水くんが苦笑いをしながらそう教えてくれた。



「はーなるほど。でも、キスシーンって、あくまでフリでいいんでしょ?」


「うん。まあ、俺は本当にしてもいいけどね?」


「えーやだやだ。速水くんは慣れてるかもだけど、私はそうじゃないのでー」