「…そうだな。悪かった。撮影、頑張れよ」



梶くんは優しく私の頭を撫でると、今度こそ行ってしまった。





「愛菜ちゃんさ、ちょっとエキストラの生徒と仲良くなりすぎなんじゃない?」


「…え?」



お昼休憩に入り、忙しそうなカナちゃんとは別で一人教室の隅っこでお弁当を食べていると、前の席に速水くんが座ってきた。



「朝、男子生徒と話してたでしょ?ああいうの、あんまりしない方がいいと思うよ。撮られて晒されたりでもしたら大変じゃん?」


「…じゃあ今こうやって速水くんと話してることもよくないと思うんだけど」


「俺たちは俳優なんだから。話してただけではスクープにならないよ。問題なのは、一般生徒と話してることだよ」


「何それ。私が女優だから、一般人とは話しちゃいけないってこと?同じ人間なのに」


「問題になって困るのは愛菜ちゃんだろ。俺は愛菜ちゃんのことを心配して…」