「愛菜ちゃん、昨日プール掃除手伝ったんだって?いいなー俺も誘ってよ」



朝から馴れ馴れしく距離感の近い速水くんに、あははと愛想笑いを返す。


速水くんなんかより、私は梶くんに会いたいのに。



「私、ちょっと台本見返してくるね」



教室の窓側の席に座り、台本を読むフリして登校してくる部活や補講の生徒を眺める。


もしかしたら、そろそろ梶くんも来る頃かもしれない。



あーあ、いっそのことエキストラなんかじゃなくて、梶くんが主演だったらよかったのに。


そうすればこの映画は私と梶くんのラブストーリーになる。演技だとしても、梶くんと付き合えるラストならこれ以上最高なことなんてない。



「今休憩なの?」


「きゃあ!?」