撮影は順調に進んでいき、あっという間に一ヶ月が経った。



「花梨、おまえはどうして俺じゃなくて、あいつを選んだんだ…?」


「私は…君のことなんて、嫌いだから。大嫌いなの…っ」



ぽろっと自然と涙を流しながら、教室から静かに立ち去る。


そこでカットの合図がかかった。



「いやー愛菜ちゃん、演技うまいねぇ。ついついこっちまで引き込まれちゃうよ」


「えへへ、ありがとうございます」


「それじゃあキリもいいところだし一時間休憩でー」



ぐーっと伸びをして、緊張で固まっていた体を軽くほぐす。



「愛菜ちゃん、さっきの演技よかったね。本業はモデルなのに、あそこまでできるなんてなかなかだよー」