静かな、ふたりだけの空間でぱちぱち、という音だけが響く。 中心のまんまるい火玉のまわりにぱちぱちと枝のような火が舞う。 そしていつしか火は弱まり、消えて──── ────おちた。 「ね、だれのこと思いうかべた?」 「え、あー」 そう言って彼は目を逸らした。 「いるんだ、だれ」 「いない」 「うそだ」