「火花、足の上に落とすなよ、火傷するからな」
「わかってるって」
そうは言ったものの、少しうれしくて、恥ずかしくて、そっぽを向いた。
「ね、線香花火、やりたい」
「おう、ほら」
「ね、北村」
「ん?」
「線香花火にね、好きな人のこと思い浮かべて火をつけて、落ちるまで見守ると、好きな人と結ばれるらしいよ」
「へー、おもしれーじゃん」
こんなにうすい紙っぺらなのに、花火になるなんて、どうなっているんだろう。
そっと、火をつけた。
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