「相川?」


その声で私は顔を、あげた。

そして、彼の名前を呼んだ。



「北村…?」



「なにしてんの」



「いや、暇だったから、ふらふら歩いてた、だけ」



「そか、じゃあさ、俺んちで花火やらね?」




花火、そう、夏。

あついあつい、夏。


でも、夏がいちばん、アオハルってかんじ。



「浴衣?いーじゃん」



今日は隣町で花火大会がある。だけど、遠くて行けないから、気分だけ。


紺色の生地に花火の柄。


彼がくれた言葉はかわいい、とか似合ってる、でもないけれど、気持ちがふわふわした。